「一寺言問地区」とは、墨田区向島五丁目、東向島一、三丁目、堤通一丁目の「墨田川」「桜橋通り」「水戸街道」「明治通り」に囲まれた区域です。
区域内の二つの小学校が災害時の防災活動拠点となっていることから、第一寺島小の「一寺」と言問小の「言問」を合わせ、「一寺言問地区」が誕生しました。
そもそも一言会が活動を始めたのは東京都の「防災生活圏モデル事業」に選定されたのがきっかけでした。当時は「防災まちづくり」や「住民主体のまちづくり」というものは全国的にも珍しく、理解しづらいものでした。
今でも分りづらいかもしれません。簡潔に表すならば、道路を広げ、燃えない建物・施設を造るために不安意識を煽るのではなく、良好なご近所付合いやまちに対する帰属意識の高まりのために共感出来るテーマとして「防災」を取り上げています。
一言会の活動方針や進め方は、6つの町会と「わいわい会」という有志の方々によって組織されている理事会で検討し、進めています。
一言会は、地区内にお住まいの全ての方が会員です。より多くの方々が気軽に「一言いえる」、地域住民主体の進め方をこれからも務めていきます。
住民主体のまちづくりによって雨水を利用した地域内消火設備「路地尊」(ろじそん)や防災小緑地「有季 園」(ゆうきえん)、「会古路地」(えころじ)などが整備され、全国から多くの見学者が訪れる防災先進地域となりました。
路地尊の設置
路地尊という名前には、細い道の住民であるということを認め、そこに存在するコミュニケーションを尊重していこうという意味が込められています。なお、2号機以降には雨水をためるタンクとそれを手押しポンプでくみ上げるシステムが組み込まれています。
火災時には消化用水としても役立つ路地尊は土地や雨水を提供してくださった隣地の方や、日常の清掃活動をして下さってる周辺の方々によって生まれ、活かされています。

街路の整備
野暮なガードレールを取払い、しゃれたデザインのボラード(杭)を並べて、優しく歩道を確保する「旧墨堤之道」「寺島のみち」「三とも通り」が出来ました。

一寺言問集会所の整備
大手建設会社がマンション建設をもくろんで買った製薬会社の跡地を区が買い上げ、建設されました。
内部は地域の人に貸出される集会室と、一言会の展示室があります。雨水を利用した路地尊6号機とトイレ、防災備蓄倉庫など有事の際に活用できる施設です。

向島有季園
「いつも季節の花や野菜の有る楽園を」という願いを込めて命名された、防災小緑地です。
十二区画に分けられた一坪農園で、二年に一度抽選を行い、花や野菜づくりを楽しんでいます。
毎年春には植木の剪定会、秋には収穫祭を開いています。路地尊と並んで日常性と防災性を併せもった活動です。

皆さんは知っていますか?「路地尊」や「天水尊」、「会古路地」に「有季園」、「はとほっと」など。こうした一風変わった名称は、一言地区の防災まちづくりが一言会や近隣にお住まいの方々の話し合によって進められた結果です。「路地尊」には「狭い道だからこそ、人びとの心が通い合う。お互い助け合って生きていこうよ」という強い意志が込められています。
中には複数の意味があるものもあります。あなたは全部わかりますか。

- 一九八五年
- 東京都「防災生活圏モデル事業」に指定
防災まちづくり瓦版第一号発行
地域住民の有志によるまちづくり団体「わいわい会」の発足 - 一九八七年
- 路地尊第一号基完成
「一寺言問の防災まちづくり計画」を墨田区長に提案 - 一九八八年
- 一言会の提案を元に墨田区が「一寺言問地区整備計画」をまとめる
路地尊第二号機(雨水利用型)の設置 - 一九八九年
- 向島有季園の設置
- 一九九〇年
- 「旧墨堤之道」の整備完成
「防災まちづくり衆会・すみだ」開催 - 一九九一年
- 『百花園通り「寺島のみち」』整備完成
会古路地の設置
日本建築学会文化賞受賞 - 一九九二年
- 「デッキスクエアー」整備完了
鳩の街通りに「はとほっと」を設置 - 一九九四年
- 「三とも通り」整備完成
- 一九九六年
- 一寺言問防災まちづくり広場、一言集会所の完成
- 一九九九年
- 路地尊通りの整備(私道整備)
- 二〇〇五年
- 一言会発足二〇周年記念式典開催
- 二〇〇六年
- 墨田区まちづくり条例の認定団体となる。
- 二〇〇七年
- 中学生の地域防災訓練参加体験の実施
- 二〇〇八年
- 「まちづくり談義」の再開、「まちづくり懇談会」の実施
- 二〇〇九年
- 地区外(板橋)への見学会
児童対象体験型防災イベント
「イザ!カエルキャラバン」の実施 - 二〇一〇年
- 「防災まちづくり衆会・すみだ2010」の開催
児童対象体験型防災イベント
「イザ!カエルキャラバン」の実施
一九八五年九月に第一号が発行された機関誌。区や都の助成がなくなった以降も自費出版を行い続け(※)、現在は五十五号(二〇〇九年十二月)まで発行されています。
その時々、一言会で話されている内容紹介はもとより、まちの時事ネタ「まちかどニュース」や有季園利用者の募集など見逃せない情報満載です。※二〇〇九年度より、墨田区まちづくり推進団体助成に交付申請し、出版費用の半額助成を受けています。